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『大魔神カノン』ノベライズ版『大魔神カノン サワモリの試練』7月29日(木)発売決定 !!

『大魔神カノン サワモリの試練』
著:タタツシンイチ
原作:大魔神カノン製作委員会
カバーイラスト:長野剛
価格:¥1680(税込)

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大魔神カノン サワモリの試練

知られざるオンバケたちの活躍を描く、人気TVドラマの本格ノベライズ!

サワモリたち東京のオンバケたちは、ラーメン屋だいちゃんを拠点に、日夜、悪霊イパダダを追いかけていた。だが、今回のイパダダは人間の魂を喰らうごとに凶悪さを増し、彼らだけでは抑えることができなくなりつつあった。
オンバケにとっての希望は、始祖たる大魔神ブジンサマを甦らせることだったが、その鍵を握る歌姫、巫崎カノンは、心が傷つき歌うことができない。
タイヘイをはじめオンバケたちの励ましで、徐々に気持ちが前向きになっていくカノンだが、本当の「いのりうた」は歌えるまでに至っていない。
そんなカノンを見て、サワモリは、65年前の事件を思い出していた。カノンの祖母かなでもまた、イパダダを前に歌を失ったのだ! 
今度こそ失敗するわけにはいかない。厳しさを増すイパダダの脅威の前で、サワモリが講じた秘策とは……!?

読みどころ

読みどころ1

TVドラマ第12話、第13話のアナザー・ストーリーが早くも登場。

読みどころ2

TVドラマの中で、少女時代のカノンに「いのりうた」を教えた祖母(かなで)の65年目のエピソードが明らかに!

読みどころ3

イケチヨの師匠筋にあたる、小説版オリジナルのオンバケ――鮎のカワヒメが、もうひとりのイパダダと戦う。

読みどころ4

タイヘイたちがオンバケと知って動揺するカノンに、若松が告げた、オンバケ誕生の新説とは?

読みどころ※立ち読みにはAcrobatReaderが必要です。

制作中の『大魔神 サワモリの試練』より3ヶ所を抜粋しました。
刊行された書籍と異なる部分がございます。

読みどころ1

サワモリたちオンバケは、ついにイパダダを追いつめるのだが……

読みどころ2

歌を失ったカノンを慰める、オンバケたちの宴

読みどころ3

カノンの祖母かなで――六十五年前、彼女も歌姫だった

大魔神カノン・タタツの試練 ――小説版メイキング日記

■1月某日

 角川書店さんより、突然の電話――なんと、あの『大魔神カノン』の小説版を書いてみないか、とのオファーをいただいたのだ!
 ……巷で噂の、謎の特撮番組。『クウガ』『響鬼』のスタッフが放つ、角川書店オリジナルの新番組の、ノベライズ――!
「やります! ぜひともやらせて下さい!……いや、絶対にオレがやる!オレにやらせろおおぉぉぉ!!」
 受話器を握る手が、興奮に震えている――嗚呼、特ヲタSF作家の血が騒ぐ!

■1月某日

『大魔神カノン』全26+1話のシナリオが届く。読み始めると共に、特ヲタの勘が、何かを感じ取る――。
「これは……どう書けばいいのか、さっぱり分からない……」
 大魔神であって、大魔神ではない。東●ヒーロー物のようで、実は全然そうではない。これまでに見たことがない、全く新しいノリを持ったシナリオを前に、しばし茫然……。
 まぁ、いいか。小説版は、番組終了後に刊行されるはずだし。放映される番組を見ながら、ゆっくり考えるとしようかな。ぐぅ。

■2月某日

 飯田橋・角川書店にて、担当N氏との初打ち合わせ――。
「今回のノベライズはですね、1クールが終わった辺りで刊行します」
「……えっ? ……それじゃあ……」
「はい。放映中の刊行となります。締め切りまで、あと3ヶ月しかありませんね」
「えええええ? 放映中ってことは、もしかして……」
「はい! ブジンサマは目覚めないかもしれません。イパダダも退治できません。カノンちゃんも、まだまだ悩んでます。――だけれども、小説版としての結末はちゃんとつけて貰いますので、そこんとこヨロシク!」
「……そ、それじゃ、せめて……」
「あー。外伝とかは今回ダメですから。あくまでも、番組の内容に沿った話でお願いします」
「……でも、その番組自体がまだ放映されてない訳で……?」
「ふふふふ、頑張って下さいね! さて、小説版の主人公を誰にするかですけれど……」
 衝撃の初打ち合わせを終えた直後、手近な居酒屋に飛び込み、ビールを呷りながら、オンバケ・サワモリを軸としたプロットを練り始める――ハードな仕事だけど、特ヲタ魂で頑張るぜ。シュッ!

■2月27日

 提出したプロットは概ね好評――今日は、N氏の御手配により、アフレコ現場を見学させていただく。
 番組本編が放映されていない現在、シナリオに表れていない「作品のニュアンス」を掴むには、これしかないのである。映像のテンポやキャラクターの口調を知ることができるだけでも、小説版執筆には大いに助けとなるはずだ、と気合を入れてアフレコルームへ……。
 おおっ! ――た、高寺プロデューサーだ! 坂本、鈴村監督だ! ……うひゃーっ! 生カノン=里久鳴祐果さんとお話しちゃったよ! ……わわわわっ! ブジンサマだ! ブジンサマが目の前を歩いてる! そして、そしてこの「声」は……か、上條恒彦さんの「いのりうた」を生で聴けるとは! どひー。
 ……興奮してばかりで、取材にならんかった。あああ。

■3月某日

 高寺プロデューサー、シリーズ構成の大石真司さんと初顔会わせ。N氏と共に考えてきたプロットの感想を聞く。
 緊張――いや、怖い打ち合わせだった。
 それなりに自信を持っていたはずのプロットだったが、高寺・大石両氏のご慧眼を通して見られると、キャラの捉え方や作品のテーマ性に、多くの誤解があることに気付かされる。
 妥協は、一切ない。これが『クウガ』の――高寺・大石マインドか――。
 ……自らの未熟を痛感しつつ、家路につく。こうなったら、何がなんでも、この作品を書ききってやると誓いつつ、夜空にサムズアップ。

■4月2日

 『大魔神カノン』放送開始――あ、突然ですが、結婚しました♪

■4月某日

 新妻の淹れてくれたコーヒーをがぶ飲みしつつ、小説版の中盤、大戦末期パートを執筆。
 ……小説版オリジナルのオンバケ・カワヒメのモデルは、デ●イエロー=木下あゆみさんだというのは、特ヲタ的秘密だ。

■5月某日

 締め切りは迫るが、書けないときには書けない。……いのりうたを歌えないカノンの苦しみを追体験しつつ、終日ゴロゴロダラダラと過ごす。オレの馬鹿。

■5月某日

 長野剛画伯の手による表紙画の画稿を、N氏より見せていただく。
 ……おおおおおおッ、か、カッコえええええ!!!!!
 いや、本当に素晴らしい! 俄然ヤル気出た!
 ゴロゴロダラダラを吹っ飛ばして執筆再開。単純で悪いか!

■5月某日

 完成間近な初稿を読み返す。
「芋長の芋羊羹」とか「アイネット配送センター」とか、分かる人にしか分からないネタが満載の原稿を前に、溜息をつく。
 ……いや、これでもかなり自粛したんです。ちなみに、拓ちゃんが疎開した「長野の親戚」は「九郎ヶ岳」だというのは、どうでもいい裏設定です。あああ。

■6月某日

 ついに、ついに初稿完成! ……N氏より送られてきた初稿ゲラを前に、しばし感涙にむせぶ。――新妻、ゲラを一読して、一言。
「なんか、書き急いでる感じがあるわねぇ。作品のテーマをつかめてないような……」
 ――修正地獄と夫婦の危機を同時に予感して、激しく落ち込む。

■6月某日

 新妻の指摘は正しかった――修正地獄に突入。
 細かい修正ではない。『大魔神カノン』という作品の根幹に関わるべき、大きな修正が……。

■6月某日

 タイムアップが迫る中、原稿の修正が続く。
 ……今にして思えば、『大魔神カノン』とは、「ありがちな特撮番組」の図式に敢えて異を唱えるような志に満ちた企画だったのだ。それ故にこそ……特ヲタとして、「ありがちな特撮番組」の図式に馴染んでいることが、逆に命取りになろうとは!
 ……編集N氏や大石氏からいただいたご意見を参考に、重要部分を修正するものの――ラストシーンが、どうしても思いつかない! どうすればいい、どうすれば……。
 激しく悩む頭の中で、あの娘が――巫崎カノンが、優しく微笑みかける。
「タタツさん、任せて下さい! 私、ちゃんと演ってみせますから……!」
 ラストシーンは、彼女に任せた――良い結末になった、と思う。

■6月某日

 修正されたゲラを読んで、驚いたように新妻が言う。
「すごい……最初に読んだとき感じた違和感が、完全になくなってる……面白くなってるわ……」
 感動。嗚呼、感動。徹夜続きの目に涙を浮かべるオレの前で、新妻はさらに一言――。
「――編集さんって、すごい……」
 ……だから! 世の中には、言っていいことと、ホントのことがあるんだってば!(泣)

■7月某日

 深夜、最終ゲラの校正を完了。編集N氏に自宅近くまで御足労を願い、ゲラを手渡す――我ながら、駆け出しの作家とは思えない暴挙である。ごめんなさい。
 今回お世話になった、大ベテランの編集N氏は、このお仕事を最後に、編集の現場を離れて、別の部署に異動されるのだという。
 ……今回のお仕事を通じて、大きな勉強をさせていただきました。
 Nさん、ありがとうございました――。

■7月20日

 今回、小説版の執筆を終えて。
 『大魔神カノン』という作品の重要なテーマは、「待つ」ということではないかと思う。
 全てが慌ただしく、何かに追い立てられるように急ぎ走り続ける時代の中、性急に結果のみを追い求めるのではなく、「待ち続ける」ことの大切さを問い直そうとするような……そんな、ドラマだ。
 無論、「待つ」ことにはリスクもあり、時には少なからぬ犠牲さえ伴うだろう。
 それでも、オンバケ達は、カノンの歌を――ブジンサマの目覚めを待ち続ける。
 「待つ」ことこそが、「試練」だから。その為に、彼等は待ち続ける……。

 ――メールが入った。N氏からだ――

 「えっ? 公式サイトに掲載する、メイキング日記……締め切りは明後日――!? ……ちょ、ちょちょちょっと待って下さい! 待って下さいよう、Nさん。……お願いだから、もうちょっと待って下さいよう……!(号泣)」
 サワモリの――そして、タタツの試練は続く。

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