ものがたり

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第3話「寡温」監督・鈴村展弘 脚本・大石真司、澄川 藍

ファミレスでアルバイトを始めるカノン。だが、カノンの心は閉ざされたままだったため、ホールチーフの丸山つばさは、カノンの様子を気にかける。

カノンを追うタイヘイは、どうすればカノンと話せるのかを考える内に、東京の街の厳しさを知っていく。

そして、カノンはバイト先で客の老人が心ない客によって転倒させられたのを見て、また涙してしまうのだった……。

『大魔神カノン』四方山話

丸山つばさこと近藤未来さんのこと

カノンの先輩で、ファミレスのホールチーフを演じた近藤未来さんも、カノン役の里久鳴さん同様、本作のオーディションを受けられたキャストの一人でした。
長身に人なつっこい笑顔。さっぱりした性格で、真面目に仕事に取り組む…そんな近藤さんの在り方は、正につばさそのもので、「女性のホールチーフ」という役柄がシナリオに登場し始めてからは、ほぼアテ書きに近い形で「つばさ像」は描かれていきました。

本作の登場人物のネーミングは、角川書店のスタッフの名前を拝借していることが多いのですが、この「丸山つばさ」も、つばさのように気が利く女性の苗字を戴いてます。
ちなみに、「つばさ」の方は、当時発売されたばかりの「つばさ文庫」が元ネタになっています。

ファミレス娘

カノンの同僚を演ずる阿部役の喜屋武(きゃん)ちあきさんと、鳩岡役の鎌田奈津美さん
お二人は図らずも「オセロ」のように好対照な、色白・色黒のコンビとなりました(^-^)b
透き通るような白い肌の喜屋武さんは「ガンダムオタク」としても有名ですよね。
鈴村監督の推薦でキャスティングされました。
そして、健康的な小麦色の肌の鎌田さんは、人気グラビアクイーンでもあります。オーディションでの自然体がキャスティングの決め手でした。

因みに、ファミレスの衣裳のコンセプトは「デニーズ以上、アンミラ未満」でしたが、それを誰が言い出したかと言えば、もちろん、若い女子には滅法うるさい鈴村監督!をおいて、他にはいません(^-^)
念の為「若い女子以外にも、うるさいはうるさい」と書き加えておきます。

怪しき隣人

カノンの住むアパートの隣室に住む怪しげな男を演じたのは、坂本三成さん。
「ピッコマンダンス」というオリジナルの踊りを、適当な振り付けで踊るのが得意な、陽気でやる気に溢れた役者さんです。

180㎝以上ある長身から繰り出される威圧的な視線と表情は、「コワモテ」そのものとも言えますが(^^;実際には、謙虚で心優しき男性です。

自然現象は人工現象

カノンが子供の頃に体験した崖崩れ。シナリオ上では比較的あっさりした描写でしたが、「この回としての見せ場を作りたい!」ということで、鈴村監督、三池特技監督、小坂CG監督、小池アクション監督の4大監督たちが、話し合って、臨場感たっぷりのシーンに仕上げてくれました。

実景の道路に、ミニチュアとCGの崖崩れを合成して描写されています。
この日のロケは炎天下で、スタッフ一同、真っ赤に日焼けしていたことが思い起こされます。

一人二役の芸達者・皆川純子さんのこと

深夜の連続ドラマは習慣的な視聴が意識されにくい時間帯であることから、各回の内容を端的に表現するナレーションを多用していますが、ナレーションの導入を決めた時点で、スタッフが考えたことは大映作品である『大魔神』のリメイクとして、大映へのオマージュ的な何かが出来ないか、ということでした。
そこで始まったのが「現代の歌姫」ならぬ「新時代の来宮良子さん」探しでした。
来宮さんは大映テレビドラマシリーズのナレーターとしてもお馴染みのベテラン声優さん。硬質な声色は作品に緊張感や運命性のようなものを与えていました。
そして、ポスト来宮さんとして起用されたのが皆川さんでした。

今回は、低音の落ち着いたトーンのナレーションのみならず、わんぱく坊主のブチンコも担当して頂いています。
かけ離れた二役をこなす皆川さんの引き出しの豊かさを、今後もご堪能頂ければと思います。

クリック!ファンタスティック

『大魔神カノン』は構想から実際のオンエアまで、長い時間と多くの過程を経てきていますが、今回は作品の世界観やテイストを理解してもらうべく企画書の中に盛り込まれた、短編マンガをご紹介します。

漫画:鈴木小波

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