ものがたり

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第4話「過飲」監督・鈴村展弘 脚本・大石真司、澄川 藍

つばさの誘いで歓迎会に参加するカノン。

その頃、カノンを待つタイヘイは、仲間のサワモリたちの助っ人に出て、オンバケの姿となり、イパダダが放つ魔物・魂式と戦っていた。

歓迎会で酔っぱらったカノンは、大切にしていた「いのりうた」を元彼・幸太郎に盗作されたことから、人が信じられなくなり、生き方を見失ってしまった……という辛さを、つばさに語り始める。

『大魔神カノン』四方山話

『カノン』という名前

『大魔神カノン』という作品タイトルは、度重なる“タイトル会議”を経て、数百の候補の中から、製作総指揮の井上伸一郎が自ら選定したものです。
“大魔神”につづく音(オン)としてのおさまりの良さが主な理由でしたが、例えば「カレン」だと女性的なイメージになり過ぎるのに対して、「カノン」は中性的で、イメージがふくらむ、という思惑も含まれていました。

関係者からは、「“観音”とも“CANON”とも受け取ることが出来るし、パッヘルベルの『カノン』など、耳にも馴染みがある」という意見が聞かれました。
そうして、作品が具体的な形を持ち始めると、サブタイトルは、26通りの「カノン」を表現することになり、また、主題歌にはパッヘルベルの「カノン」のフレーズが確かに盛り込まれていました。
様々な可能性を秘めた「カノン」の今後にご期待下さい!

りくなっちの挑戦(^^)

第4話では、「酒を飲み続けた挙げ句、しゃっくりが止まらなくなるカノン」を演じた里久鳴さん。実は彼女にとって、この「飲む」演技はそれなりに苦労があったようです。
というのも、里久鳴さんは、そもそも水分(飲み物)を大量に摂るタイプではなかったそうで、ペットボトルも1本あれば、1日充分にもっちゃうとのこと。

そんな彼女にしてみると、ビールや巨峰サワーをごくごく飲む芝居は、芝居する以前に大喰いや早喰いに匹敵する難業だったようです。
因みに「しゃっくり」の演技も初体験ということで、やり過ぎず、とはいえ微笑ましく見える「しゃっくり」を探っていったそうです。

トモスケこと山中崇さんのこと

柴犬のオンバケ・トモスケは、忠犬よろしく、「付き合いのいいヤツ」という設定になっています。
特に心に垣根を作らないタイヘイのようなタイプを兄と慕い、尽くす弟分的な存在です。
この「タイヘイを慕う」という設定は、キャスティング前からあったのですが、山中さんにこの役をお願いすると説得力が加わるのでは、と思わせるエピソードが面談(個別オーディション)の際にありました。

山中さんと眞島さんは、同じ事務所に所属されていて、それ故、面談には同じタイミングで来られていたんですが、面談を先に終えられた山中さんは、先輩である眞島さんの番が終わるまで、控え室で待たれていました。まるで弟分のように……。
そして、眞島さんの面談後、お二人で仲良く会場を後にされたのですが、眞島さんをタイヘイに見立てた場合、山中さんこそがトモスケ役にピッタリくるという如実な間合いがそこにはあったのです。
穏やかな人柄と、ユーモア溢れるお芝居の山中さんに、今後も大注目して欲しいっす!

イパダダ考察(その1)

イパダダは、命あるものから命を奪っては、その命(生命エネルギー)を自らの力に変えていきます。
人間の命は、言わば「主食」として、彼の本来の活動に使われるわけですが、「おやつ」として摂られた小動物の命は、使い魔(=魂式)として、使い捨て的に利用されます。

因みに「イパダダ」という言葉は、タイヘイたち、東北オンバケの拠点が青森に設定されていた頃に、タイトル案として候補に上がったもので、「変な、妙な」という意味の津軽弁です。
不思議な語感から、スタッフに強烈な印象を残し、最終的には悪霊を示す言葉として採用されることになりました。

鈴村展弘監督のこと

第3話、4話を演出した鈴村監督は、筆者、高寺にとって『仮面ライダークウガ』という作品以来の付き合いであることと、彼自身がとにかく周囲を笑わせようと努める、明るい人間でもあることから、何かの折りには、つい彼をいじり倒して書いてしまう傾向にあります。
書いてあること自体にそうは間違いがないとしても(^^)、鈴村監督は、とても頼りになるスタッフ…というか仲間の1人です。

お世辞でも何でもなく、彼の知恵と情熱で『仮面ライダークウガ』という作品が成立したことは確かです。スタッフ、キャスト、制作サイド、関係者に常に気を遣いながら、ハードな制作状況を切り盛りし、作品のクオリティーを落とさぬよう、より良い環境作りに奔走してくれたのが彼でした。
今回も、そんな彼に現場にいてもらうことで、現場の雰囲気、即ち作品の雰囲気が良くなることを願って、作品に参加してもらいました。
今後ともよろしくね、スーさん!(←「スーさん」と彼を呼んだことは、これまで一度もありません)

クリック!ファンタスティック

今回は、オンバケタイヘイが誕生するまでを追っていきます。
「オンバケ」は、人に大事にされた道具や動物が人に恩を返すため、新たに命を授かった存在で、例えばタイヘイの場合は、「兜の妖怪」、「兜の精霊」、「兜のもののけ」と言う捉え方が、デザインの初期からされていました。

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